少し古いネタになるのですが、アメリカの化学と工業誌
(Chemical & Engineering News)7月7日号(2003)から
BACTERIUM SNACKS ON VINYL CHLORIDE
Isolated microbe degrades the pollutant to ethene and
inorganic chloride
Chemical & Engineering News
July 7, 2003, Volume 81, Number 27, CENEAR 81 27 p. 8
ISSN 0009-2347
意訳ですが、
バクテリアが塩化ビニルにくらいつく
微生物が汚染物質をエチレンと無機塩化物に分解する
という記事を読みました。
塩ビ(PVC)といえば、環境問題ではすっかり悪役としてお馴染みになっていますね。
その昔、塩ビシートを地中に埋めて長時間放置後に取り出してみるとボロボロになっていて、
これは微生物で塩ビが分解されるに違いないと早合点されたのですが、
実は塩ビシートに含まれていた可塑剤が分解、溶出されたという事が分かり塩ビは分解されないと言うのが通説だったのですが、どうもこれは誤りで、原文の中では
One quest of bioremediation researchers has been
to find bacteria that completely dechlorinate chloroethenes,
among the most common industrial pollutants in soils and
groundwater. Although scientists knew from soil samples that
such bacteria must exist, known strains either have been
incapable of removing the last chlorine or did so inefficiently.
要はその筋の研究者の方々にとっては、高分子でない塩化ビニル(モノマー)に関しては脱塩素化出来る微生物がきっと存在するに違いないと思っていた訳で、実際にそういう菌はあったんだけど、脱塩素化効率が悪いものだったらしいです。
Now, meet BAV1, a strain of Dehalococcoides that
uses vinyl chloride directly as a metabolic electron acceptor,
producing ethene and inorganic chloride [Nature, 424, 62 (2003)].
Isolated from a sample collected from a chloroethene-contaminated
aquifer in Oscoda, Mich., the bacterium was characterized
by a research team led by microbiologist Frank E. Loffler,
an assistant professor in the School of Civil & Environmental
Engineering at Georgia Institute of Technology.
で、BAV1 という菌株がどうも候補らしいです。
"People are already out there marketing mixed-culture glop"
to dechlorinate sites, says James M. Gossett, director of
the School of Civil & Environmental Engineering at
Cornell University.
ゴールドラッシュみたいですけど、本当に塩化ビニルが完全に脱塩素化されるんであれば、非常に面白いと思います。
環境問題的には嫌われ者の最たるものであります PVC の復権に繋がるかも知れません。
そもそも PVC のダイオキシン問題自体は結構怪しい所があるお話なんですが、元々焼却に回していた大きな理由の一つである「土の中では分解されない」が解消されれば、処理方法に関しては大きく話が変わってきますので、
今日これまで PVC が使われていた大きな理由であります「
安価」「
二次加工性が高い」「
耐薬品性」といった利点に再度焦点が移ると非常に面白いと思っています。
医療用の点滴バッグは今なお PVC が使われていて、批判にさらされていたりする訳ですけど、
他の材質だと脆くて、扱う看護師・看護婦の方々にかかる負担が大きい為、切替え対象から外れていましたが、
いつの日か大手を振って使えるかも知れませんね。
英語版は → こちら
Recent Comments